執事とお嬢様、それから私


開いた口の塞がらない私に構わず東條さんはなれた様子で私の着替えを用意する。

「随分汗をかいてるから、これに着替えなさい」

「…はい」

完全に執事モードだし…。

「着替えが終わったら少し、物を食べなさい。薬を飲んで寝ればすぐ治るでしょう」
「…はぃ。あっお風呂…入っちゃ駄目ですか?」

と聞くとただでさえ切れ長の目をさらに細めて私を見る東條さん。

「いいわけないでしょう。汗なら拭いて上げるから、脱ぎなさい」


その答えに、私の目から涙が一筋落ちていった。


「かのこ?そんなに風呂にはいりたかったのか?」


それを見た東條さんは驚きを隠さない。

違う…違うよ東條さん。



「…っ、お嬢様にも、こうした?」

「え?」

「お嬢様にも…着替え用意して、ご飯作って…汗、ふくの?」


ねぇお願い。


私以外、触らないで


そう願ったら、駄目ですか?


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