執事とお嬢様、それから私
「かのこ…」
あぁ、困った顔…
させてるのは私
なんでこううまくいかないんだろう
なんでこうわがままなんだろう
ここに東條さんがいる
それだけでよかったはずなのに…
「ごめ…な、さい」
「かのこ」
ちいさな謝罪の言葉は大きな東條さんの胸に吸い込まれていった。
香るのは、麝香<ムスク>
「お嬢様のお世話をするのが、俺の仕事だ。」
静かに、でもはっきりと頭の上から聞こえる声。