執事とお嬢様、それから私


「かのこ…」


あぁ、困った顔…

させてるのは私

なんでこううまくいかないんだろう

なんでこうわがままなんだろう

ここに東條さんがいる

それだけでよかったはずなのに…

「ごめ…な、さい」

「かのこ」


ちいさな謝罪の言葉は大きな東條さんの胸に吸い込まれていった。

香るのは、麝香<ムスク>

「お嬢様のお世話をするのが、俺の仕事だ。」

静かに、でもはっきりと頭の上から聞こえる声。

< 19 / 81 >

この作品をシェア

pagetop