執事とお嬢様、それから私
あぁ行っちゃうんだ。
「…そんな顔するなよ。帰りたくなくなるだろ。」
チュッと小さなキスをされる。
「さて、じゃぁとっとと服、脱ぎなさい。汗を拭きます。」
「へ?」
あの、甘い雰囲気はどこに…
「早くしなさい」
ぎゃーーー……………‥‥‥
「では、お粥は冷蔵庫にありますから。薬忘れずに飲みなさい。熱さがらないうちにシャワーなんて駄目ですよ。」
「…東條さんお母さんみたい。」
「なにか?」
「なんでもない…。」
あれから流れるような動作で汗を拭かれご飯を食べさせられ薬を飲まされベッドに寝かされた。
いつやったんだか寸分の隙もなく自分の衣類を整えた東條さんは帰るようだ。
「ありがとうございました」
「いや…あぁ、そうだ。近々連休がとれそうなんだ。予定が合ったら旅行でもしよう」
「えっ!?」
「それまでに直しとけよ、また電話するから、じゃぁな」
うぅむ。東條さんやるなぁ。そんなエサ吊られたら、がんばっちゃうじゃない!!
予期せず東條さんの気持ちも聞けたし、万々歳ってやつかな?
不安はもうないよ。
東條さんはお嬢様の執事だけど、私だけの彼氏だもん!!!!
執事と私の出会い方~END~