執事とお嬢様、それから私
「しかしじゃない!!だいたい自分から誘っておいてはぐれるなんてどういう事ですの?情けない!!こんな可愛い方、すぐさらわれてしまいますわ!!」
「綾那ちゃんってもしかして…?」
かのこさんの堅い声…
「西園寺…西園寺綾那。東條雅人の主人、ですわ」
「もしかしなくても東條さんの彼女って…」
そろそろと指を自分に向けるかのこさんに笑いがこみ上げてくる。
「そうですわ!!でも…かのこさんなら。特別に許しますわ!!」
「き、嫌いじゃ、ない?」
泣き出しそうなかのこさんは、年上には見えない。
「当たり前じゃない!!終わった恋より友情よ!!雅人!!!!」
「はい」
「私の友人を傷つけたら許しませんわよ」
「はい…」