執事とお嬢様、それから私


「あぁ、そうでしたわ」


ぽんと手を叩いてお嬢様が立ち上がる。
以前より柔らかくなられた顔がさらに美しくなったのは、最近和之がよく呼ばれることと関係があるのか…などと無粋な事を考えてしまう。


「来週末、予定通り連休を差し上げてよ。かのこと旅行にでもいってらっしゃい」

「ですがこの間すでに休みをいただいて…」

「あら?私の言うことが聞けなくて?」

「…ありがとうございます」

「和之を鍛え直さねばなりませんわ!!」

「最近和之が随分とお気に入りのようで」

「あら?雅人、ヤキモチかしら?」

「和之にはまだ譲りませんよ?」

「フフフ、雅人があんなにヤキモチやきだなんてしらなくてよ、かのこにこの間話を聞きましたの」


………コロコロと笑うお嬢様。心の中の予定表の最重要事項にかのこのお仕置きが加わったのは言うまでもない。

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