執事とお嬢様、それから私


「どうぞ」

助手席にまわり手を差し出す。いつもの事なのに恥ずかしそうにするかのこは可愛い。

「うわぁっ!!!!」

「いい所だな」


‘和’がつまった旅館はかのこに似合う。感じのよい従業員。隅々まで掃除もなされているし、もてなしのタイミングも良い。

それをかのこに言うと

「職業病ですね」

と笑った。


「東條さん、デート、しませんか?」


部屋につき、一息ついた所でかのこがもじもじと言ってきた。もちろんそのつもりだったのだが……


「…そんな顔してると、部屋から出さないよ?」

「えぇぇ!?!?」


「ククッ。行こう。」


顔を真っ赤にしたかのこはからかわれた事に気づいたのかプリプリ怒りながらもしっかり差し出した手を握ってきた。


どこまでも可愛い。
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