執事とお嬢様、それから私
グッタリと座布団の上に丸まって寝ているかのこを見て、罪悪感が生まれる。
大人だからと言い聞かせ、平気なフリをして、余裕ぶってはいたけれど…
自分でも止められなかった。
かのこに優しくできなかった。
それが自分がどれだけ不安だったのかを表していて、なんだか情けなくなった。
でも…
こんな嫉妬に狂うのは、初めてで。
そもそもこんなに人を愛するのも初めてで。
触り心地のよいかのこの髪を一房手にとり弄ぶ。
「こんなに愛しい…」
この年になって、まだ胸が疼くことに驚き、歯がゆさを感じる。
またそれも心地よいと感じる自分は重症だろうか?
「さて…夕飯の時間を遅らせてもらわなきゃな。」
明日は罪滅ぼしにめいっぱいかのこを甘やかそう。普段できない分、たくさん話そう。
触れる頬は柔らかい。
「愛してるよ…」
~執事と彼女のデートの手引き~
END
→おまけ