執事とお嬢様、それから私



私が道案内する以外の音は車内に響かない。いい車は運転音もまったくしないようだ。


緊張で息の仕方を忘れてそろそろ酸欠やばいんじゃないのって所で車は止まり、あたり前のように運転席から降りて助手席のドアを開ける彼。


「もう歩けそうですか?」


優雅に腰をおって目線を合わせて話す彼に心臓がまたしても稼働しはじめる。

「はい、大丈夫です」

これ以上迷惑かけたくなくて、赤い顔を隠すようにうつむき車からでようとする。

と、当然のように差し出される手に戸惑ってしまった。


しばし迷って、ここまできたら今更手ぐらいと思い、その手をとって車からでた。


グラッ


そこで視界がゆれた。
まだアルコールは体内に健在だったらしい。

ヤバッ…





フワッ


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