空の笑顔
「渚はこいつだけど?」
慎二は俺を指差した。
「あなたが“榎本渚”くん?」
「んまぁそうだけど…」
その子はなぜか震えていた。
何?泣かせた!?
でも顔を上げたその子は泣いていなかった。
「初めまして。私、河村由美っていうの…」
「はっ初めまして…」
「ずっと…会ってみたかったんだぁ」
俺の隣で慎二がポカァンと口を開けていた。
俺はなぜこの子が俺の名前を知っているのか、なぜ会ってみたかったのかわからない。
でも次の言葉でわかった。
「私……“七瀬空”の親友なの…」