空の笑顔
「空…」
名前を呼ぶので精一杯。
正直、なんて声をかければいいのかわからない。
空は大丈夫だと思っているのに、俺の心はモヤモヤしている。
“もしかしたら…”なんて考えたくないのにどうしてか考えてしまう。
目の前の彼女は今、こんなにも戦っているというのに、俺が弱気になってしまってはいけない。
わかってはいるのに、弱気になる。
こんなんじゃ空に会わす顔がない。
空を握る手が強くなる。
こんなにも近くにいるのに遠くに感じてしまう。
俺は確かめるようにそっと空の頬にキスをした。