空の笑顔
最後の時間
空の病室に入る。
ゆっくり空に近づき、椅子に座った。
空は俺の方を向き、ニコッと微笑んだ。
「お前の親っていい人だな」
そう言うと空は頷いた。
「…お母さんも、お父さんも、私がしたいように…してくれたの」
喧嘩したこともあったけどねと少し笑いながら言った。
酸素マスクをしているからか、少ししゃべりにくそうだった。
「なぎさ…試合、どうだった…?」
すっかり忘れていた。
一番に伝えに来たのに…。
「勝ったよ。しかも俺、MVP獲った」
「すごい!おめで…とう」
弱々しくも笑顔で言ってくれた空。
俺は空の頭を撫でながら“ありがとう”と言った。