空の笑顔
俺は空の手を強く握り締める。
「空…俺は此処にいるよ」
その声が届いたのか、空の呼吸が少し正常に戻った。
俺は空の頭を撫でた。
空は顔を俺の方にゆっくりと向けた。
「…ぎ…さ」
微かだが空が俺の名前を言った。
「ん?」
問いかけたけど答えは返ってこない。
呼吸が苦しいそうだ。
そんな空の姿に、おばさんもおやじさんも泣いていた。
俺も泣きそうになる。
でも、今は泣くわけにはいかない。
ふと、俺の手を空が弱々しくも握り返してきた。
空の口が微かに動く。
何か言っている。
耳を近づけ聞き取る。
「ご…めん…ね」