倒錯夜話(センチメンタルナイトホラー)
芳恵は、松西を憎み切れず好きだった。

「芳恵には幸せになって欲しい。」

真昼は泣いた。

その時は真昼も芳恵も、23才だったが、真昼は即刻過去に戻る手配をした。

先祖代々の真昼のお墓の寺の本堂に座ると、頭を真っ白にした。

やがて真昼の姿が消えた。

真昼は高校時代に直哉を殺した時、サリも始末しなかった事を悔やんだ。

直哉を始末した翌日に戻り、帰り道にサリに声をかけた。

「一緒に駅まで帰りましょう。」

サリはついて来た。

高校は山の上にあったので、近道の帰り道の山の中腹の祠の石を、真昼はいきなり足で蹴ると、サリの手を強く引き、中へ引っ張りこんだ。

サリを一晩そこに閉じ込め、翌朝解放した時にはサリは頭がおかしくなっていた。

真昼が壊した祠は蛇女の伝説がある蛇塚であった。

真昼は白蛇を自由に操れるので、サリがどんな目にあったかはだいたい想像できた。

蛇達は、サリの服を悔い千切り、体内へと侵入したのだ。

いつも松西に気もないのに、思わせぶりにしていたサリを真昼は許さなかった。

サリは蛇に犯されて発狂したのである。
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