空になりたかった海
「母さんは知ってるのか?」


「知らないし、言うつもりもないし、なによりその怖い顔やめてくれる?」


父は我に返った表情で「すまん…」と椅子に座り直した。



「いや、しかしダメだぞ。そんなのおかしいだろう。許可できるわけがない」


父は手帳をしまうと首を振った。


「ウチね」

作戦どおり、ここから演技がはじまる。
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