空になりたかった海

【2】 4日、それを恋というならば

玄関のドアを開けると、不機嫌な顔の紗耶香があらわれた。


「早かったね」

と言って中に入ってもらう。
紗耶香は口を結んだまま、靴を脱ぐ。


来客に気づいたのか、母が

「あら、お客様?」

とスリッパの音をたててやってくる。


「こんにちは、おばさま」

パッと笑顔を作った紗耶香が母に声をかけた。



「紗耶香ちゃんじゃないの?大きくなったわね~。あら、光の部屋にいくの?」


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