空になりたかった海
「そろそろ帰ってきたら?お母さんも許してくれるよ」

私は、なるべく軽く聞こえるように言ってみる。



父は、ため息をつくと

「こっちがだめならこっち、ってのはな…。母さんに申し訳ないだろ」

と私を見た。



「強がっちゃって。悪いと思うなら、なおさら早く家に帰ってきてよ。大変なのはウチなんだからさ~」


「まだイライラしてるのか?」


「地雷を踏まないように、常に気をつけております」


冗談めかせて言った私に、父は笑った。
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