空になりたかった海
足が金縛りにあったかのように動けなくなる。


正彦は、私に気づかずに歩いてゆく。


練習で疲れているのか、うつむいて、だるそうに見えた。



話しかけて、この間のことを謝ろう。
頭が指令をだしているのだが、動けない。



私は、正彦の後ろ姿が見えなくなるまで、ただただその場で見送ることしかできなかった。



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