空になりたかった海
「フフン。だって、ほらあれ見て」

ナツが指差した方向には、さっきまで停まっていなかった青い車があった。



「ええっ?新幹線で行くって言ってなかった?」

確か昨日まではそう言ってたのに。



ナツは、私の肩を抱くと
「えとね。乗り換えとか、向こうについて行きたい場所とか調べてたら、やっぱ車の方がいいかな~って思ったのよねぇ」
と言った。


私は苦笑して

「それ、決めたのって今朝なんじゃない?」

と言うと、

「バレたか」

と笑っている。
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