空になりたかった海
私たちは、いちいち探検しては、感嘆の声をあげた。


ひとしきり落ち着いた後は、荷物をカバンから出していく。


ナツは数日の旅行にしては、山のような荷物だ。
「家出でもしてきたみたい」

とからかうと、

「歳を重ねるとね、女を維持するのって死ぬほど大変なんだから。これくらいは当たり前」

と、平然とした顔で言った。


「さ、整理したら海へ行きましょう」

ナツはにっこりして言った。
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