空になりたかった海
そのまま、ゆっくりと空を見上げてみる。



まぶしい光に目を閉じる。



波に軽く身を任せてゆらいでいると、不思議に心が落ち着くのを感じる。

まるで波と一体になったかのような気分。


「ウチは、今、海だ」


そう、つぶやいた。



たとえば、少し風がふいただけで、たくさんの波がたつくらいの存在だ。




空は、果てしなく遠い。




< 152 / 282 >

この作品をシェア

pagetop