空になりたかった海
遅い昼ごはんは、ナツさんが作ってきてくれたお弁当だった。


「夜のお仕事の私が、ほんっと頑張って作ったのよ~」

と自慢するだけあって、色とりどりのおかずは、見るだけで食欲を呼び覚ました。


「すごいねぇ、これならいつでもお嫁さんに行けるよ」

と、冗談を言うと

「それだけは言わないで~」

と顔を両手で覆って泣くフリをしている。
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