空になりたかった海

【4】 10日(3)、透明な鎖

目が覚めると、外は日暮れを迎えたらしく、部屋の中も暗くなっていた。

「あ、起きた?」

ナツは、ホテルにある温泉に行ってきたらしく、浴衣を着ている。


メイクもバッチリしていて、見とれてしまう。


「今、何時ぃ?」

私が体を起こすと、ナツは

「そろそろ6時くらいかな。おなかすいたね」

と言った後、ブラシを手に、私の後ろに回った。

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