空になりたかった海
「今ね、熱海にいるんだよ」


「ええっ、すげーな。あれ?でもさっき部活終わって帰るとき、おばさん見たぞ」


正彦は不思議そうだ。



すっかりテンションのあがった私は、ナツとの出会いから今までを説明した。



「なんか、光ってすごいなぁ。普段はただの変なヤツなのに、行動力はピカイチだもんな」


「それ、褒めてないし」

私はつい笑顔になる。

正彦の憎まれ口も、今日は愛しく感じてしまう。
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