空になりたかった海
「光もたまには一緒にやるか?」


「やだ」


正彦は苦笑して

「光は、やだばっかだな」

と笑って「じゃあな」と走り去って行った。



正彦とは昔からの友達、いわば幼なじみである。しかも同じクラスだから、何かにつけて気にかけていてくれている。


昔はなんとも思わなかったのに、最近急に背が伸びて正直意識している私だ。


会えば、冗談を言ったりしてふざけているが、近頃では感情を押し殺すのがつらい。



恋なのかな、とも考えるが、それを認めてしまうと次を求めたくなりそうでこわい。
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