空になりたかった海
ナツの話によると、それから父は店に通うようになり、自然に付き合いだしたということだった。

「家を出て行ったのも、そのあたりなのかな」


ナツは、「それは違うの」と、首を横にふった。

「前から、帰りが早いとか、休みの日にも会えないのを不自然に感じていたのよ。で、ある日、問い詰めちゃったの」


「で、白状した…と」


ナツは、悲しそうにうなずく。


「私、どうしても不倫だけはイヤなの。だから、別れましょうって伝えたの」
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