空になりたかった海
職員室の横に設置してある公衆電話には、タウンページが置いてなかったので、とりあえず駅に向かいながら公衆電話を探すことにした。



終業のベルが鳴ると私は鞄を片手に校門を出た。


パタパタパタ


クセのある走り方が後ろから来る。

「よっ、紗耶香」

私は振り向いて声をかけた。


「光、なんだか急いでるみたいだけどどっか行くの?」


紗耶香は同じクラスの友達だ。だいたい私がほんとに仲の良い友達と呼べるのは、正彦と紗耶香ぐらいしかいないが。


「ちょっと調べたいことがあってね」

私は歩きながら話す。



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