空になりたかった海

【2】 15日、追いつけない影

朝起きると、昨晩までくすぶっていた風邪がすっかり治ったのをかんじた。


「よし」

つぶやいて、下に降りてゆくと母が朝食を食べていた。


そして、その向かいには父が座って新聞をみていた。


「あれ?」

思わず出た言葉に、父は
「よう」

と照れくさそうだ。

母も、

「あら、良くなった?ご飯食べたら?」

と、何故父がいるかについてはスルーしたいようだ。


「ジュースだけでいいや」

と、席に戸惑いながらついた。
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