空になりたかった海
「なになに、おもしろそう」


紗耶香も早歩きでついてくる。


「いやぁ、スナック夏風ってとこに行きたいんだよね」


「どのあたりにあるの?」


「ぜんぜんわかんないの」


紗耶香は、「へぇ~」なんて言いながらついてくる。


「ねぇ、おもしろそうだから私も行きたいなりよ~。明日さ、土曜で学校半日だし、その後着替えてから一緒に行かない?」


「えー、いいよ。さっさと済ませたいし。ウチ1人でも充分だょ」


紗耶香は、私の前に回り込むと、子どもみたく通せんぼの真似をした。


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