空になりたかった海
「へぇ~、よかったね」

「ありがと。光は誰と来てるの?」


「…まさくんとだよ」


「ふぅん。よろしく言っておいて。じゃ、またの~ぅ」

紗耶香は言うだけいって、さっさと行ってしまった。


あれほど正彦のことを言っていたのに、ふぅんで済んでしまうところが紗耶香らしい。



ああいう移り身が早い人はうらやましい。


がんじがらめになってしまう人よりも、数倍幸せになるチャンスに恵まれているもの…。
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