空になりたかった海


慌てて箱を開けようとするが、ハサミがないと、結んであるビニールのヒモが切れず、私は走り回ってハサミを探した。



ようやくヒモを切り、箱を開く。




ふっと、ナツの香水を感じた気がしたのは気のせいか。


すぐにそれは、梨の香りに消えてしまった。



梨は12個入っていた。



そして、その上には白い封筒に入った手紙が置いてあった。

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