空になりたかった海
何て答えていいか分からない。


戸惑う私に気づいて、彼女は優しい微笑みで言った。


「あなたのこと、お父さんから聞いていたの。だから、この間、名前を聞いた瞬間にすぐに分かったのよ」


「はぁ…」


「あ、私はナツです。夏美という名前なんだけど、みんなナツって呼んでるのよ」


彼女は、私の手をにぎったままだ。


不思議と嫌悪感はなかった。


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