空になりたかった海
口が勝手に話し出す感覚。


「なにいってんの。勝手に腹立ててばかみたい。人の気持ち考えたことあるの?紗耶香がどんな気持ちだったか、ウチがどんな想いだったか」


しまった、と思ったがもう遅い。


何か言おうと口を開きかけた正彦に、私は指をさして

「言わないで!」と制して続けた。


「紗耶香の気持ち知ってたんなら、なんでちゃんと考えてあげないの?あんなことしたのは悪かったけど、せざるを得なかったのも考えてあげなよ。紗耶香は、本当にまさくんが好きなんだからね!」
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