春夏秋冬~それは奇跡の幸せ
秋に泣きながら走った道は意外と距離があり、大学まで二時間半もかかった。


大学の名前も内部も変わらず、みんなで騒ぎながら昼食をとった食堂や強い衝撃を受けた旧校舎も体験したままの状態で残っていた。


それから少し南へ歩くと、帰宅時に翌日も一緒に帰る約束を交わした十字路へたどり着いた。
当時の幼さい彼女が手を振り、去っていく姿が印象深い。
話ながら歩いた道をさかのぼり、高校へと入っていく。
日曜日なのに仕事をしている教師に事情を説明し、校内を見学させてもらう。
受験勉強に励んだ図書室や数時間座り続けた裏門近くの噴水、昼休みにお世話になった“ひょっこりエビカツサンド”が置いてある購買部。
あるはずがないと思っていたサンドイッチも実在していた。
彼女と最初に会った教室の窓際の最後尾の席から見た風景もあの時と同じで、今は立ち入り禁止になっている屋上も芝生が植えられていた。
見学を許可した先生に全て話すと不思議過ぎて不気味に感じたと顔を青ざめてしまった。
迷惑を最小限に抑えるため、学校を後にする。
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