【大賞】六天ニ花雪ノ舞フ
空は、何もしてくれない。

ただ、黙って、人々が死んでいくのを、もがきくるしむのを、見ている。煙の向こうに、消えていく、故郷。

灰になって散っていく、人々の生活のあと。

うめき声の中に、大切な思い出ごと、すべてが消し去られていく。

耐えきれずに、少女は、金切り声をあげた。
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