不良の法律~Judge Town~
マリコはそう言いだすと、目に溜まっていた涙を流がし、本格的に涙を流し始めた。

その涙は、それはもう堰を切ったみたいに流れ出し、マリコにはもう、どうしようもないぐらいの勢いで流れ出す。

そんなマリコの様子に俺は、自分の考えとは食い違いが起きていると思って、叫ぶ様な声で反論した。

「そうじゃない!!俺は、マリコにとって疫病神でしかないんだ。俺と一緒に居たら、マリコまで一緒に不幸にしてしまう。だから俺は、お前の側にいる訳にはいかないんだ」

俺だって出来れば、離れたく何かなかった。でも俺には普通が出来ないんだ…。

学校に行く。授業を受ける。親や友達に甘える。真面目に働く…そんな普通のことが俺には出来ない。

俺は、マリコとは違い過ぎるんだ…。

俺の言葉を聞いたマリコは、流れる涙を無視し、俺の顔を見つめながら話しだす。

「何それ…ハヤトは私のこと何も解ってないよ。ホントにバカみたい…」

俺は確かに何も解ってない。だが俺は間違ってなかったはずだ。

「俺は…間違っていない。マリコは俺と一緒に居てはダメなんだよ。お前の友達だって昔言ってただろ?俺に近付くなって…それが真実なんだ」

そう、俺にはマリコみたいな眩しい場所は似合わない。暴力と快楽でしか満足できない人間が集まる、こんな掃き溜めの様な場所が俺にはお似合いなんだよ。

「だからお前は帰れ。俺の事なんて忘れてよ…普通に日常を生きろよ。俺はここに来た時点で死人同然なんだから」

日常との離別。法の届かない場所。社会から切り離されたクズの楽園…。

俺は、そんな町の住人なんだよ。
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