不良の法律~Judge Town~
「お前じゃないですよ。シンジと呼んで下さい…」

あろう事かシンジは俺に向かって頭を下げてきた…。

実に優雅に…。

「そいつは…悪かったな」

俺はシンジの態度の変化に少々戸惑った。

さっき俺に不意打ちをした人間には見えない…。

「さっきは失礼しました。タケシさんの実力を見ておきたくてつい…でも私を前にしてよそ見をするタケシさんが悪いんですよ…油断禁物です」

意外に饒舌なシンジ…だが言ってる事は間違っていない。

油断した俺が悪いんだ…だからシンジが卑怯だとは言わない…。

だから…

俺は構えを解いたシンジとの距離を一足飛びで詰めた…そして渾身のストレートを顔目掛けて叩き込む。

シンジは俺の突然な行動が予想外だったらしく、上体を後ろに逸らして躱したシンジ…だが無理な体勢で躱した為かその場で尻餅をついてしまっていた…。

そんなシンジを見た俺は思わずニヤリと笑ってしまう…。

「油断は禁物だぜシンジ君…今は戦いの最中なんだからな!!」

俺は嫌味を込めてシンジに言ってやった…。

「……食えない人ですねあなたは…」

シンジはゆっくりと立上がる…その目には多少の苛立ちが見え隠れしている。
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