不良の法律~Judge Town~
先生が言った通り、鎮痛剤を打ってもらった後は鋭い痛みは引き、同時に意識が無くなる様な感覚が俺を襲う…。

「薬の副作用で眠たくなると思うから、ゆっくり休むといい。…話はその後でな。」

先生が最後何を言ったのかは聞こえなかった…。

でも、先生の顔色は良くなかった事だけは解った。

それからの俺は、意識を覚ますたびに激痛に襲われ、鎮痛剤を打ってもらい、眠りにつくという生活を一週間繰り返した…。

俺にとってこの一週間はまさに地獄だった…夢では悪夢にうなされ、現実では激痛に苦しむ。

生きているのが嫌になるぐらいの生活だった…。

でも本当の地獄は、これからだったんだ…。








「そんな…うそだろ?」

俺が今居るのは精神科のとある病室…。

その病室には、人形の様な綺麗な顔立ちをした、一人の少女が居た…。

「…俺が解るよな?…解るって言ってくれ…サヨ」

俺は車いすから降り、サヨの側に近寄った…。

近くで見るサヨは、どこも怪我をしていないし、多少気色が良くないだけでいつものサヨだ…。

でも何かが違う…生を受けた人間として絶対的に何かが足りなかった。

「カズヤ君。サヨちゃんはね、心を壊してしまったの…残念だけど、これが現実よ」

俺は、一気に血の気が失う感覚を感じた…。

「カズヤ君!?」

倒れそうになった俺を支えてくれたのは、サヨの担当医らしい、柏木先生だった…。
< 346 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop