不良の法律~Judge Town~
「昔からヒサジは、何でもかんでも責任をしょい込み過ぎなんだよ。確かに、サヨを守ってやってくれと頼んだのは俺だが、自分を犠牲にしてまでする事じゃない…自己犠牲で誰かを守ろうとする考えは、必ず誰かを傷つける事に繋がる…。ヒサジにはそれを良く考えてもらいたい」

あの時の俺は、サヨの為なら自分を犠牲にする事も辞さなかった…。

頭から血を流し、死にそうな激痛に襲われながらも、俺が助けると言って勝手に突っ走ったんだ…。

でも…。

「…俺は、あの時に判断を誤ったんだ。今なら解る…カズヤが怪我したのも、サヨがあんな状態になったのも、全て俺の責任なんだ」

「ヒサジ…それは違…」

「違わないさ…俺が孤児院に駆けつけた時、黙って警察を呼んでいれば、あんの凄惨の結果にはならなかった筈だ。サヨも、軽い症状で済んだ筈だし、カズヤもあんな大怪我にならずに済んだ筈なんだよ…」

そう…あの時の俺の勝手な判断が、あんな事件を引き起こしたのだ。

何も知らない中学生のガキが勝手に突っ走って、取り返しのつかない事件を招いた…。

これが、俺が背をわなくてはいけない十字架だ…。

俺が一人懺悔をしていると、カズヤは、大きなため息をついた。

「だからそれがダメだって言ってんだよ…なんでそんな結論になるんだぁ…よっ!」

カズヤは、苦笑いをしながら向かいに座っている俺の頭を何かで叩いた…。

「いてっ!?…いきありなんだ?」

カズヤは俺の素っ頓狂な反応を見て、笑顔を浮かべながら話しだした…。
< 350 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop