不良の法律~Judge Town~
「ヒサジが今言った事は、全て結果論だ。もしかしたら、俺達が駆けつけていなかった事によって、サヨが死んでいたかもしれないだろ?…俺がケイタに刺されたのも、俺の不注意が招いた事だ…だから一概にこれが原因だとかは何も言えないんだよ。」

確かにカズヤの言っている事は正論なのかもしれない…でも。

「…それでも俺は、自分を許す事が出来ないんだ」

ちっぽけなプライドが自分を許せない…それが不良の性(さが)だからな。

「そうか…でも、サヨはヒサジを許してくれると思うぞ!むしろ感謝している筈だぜ」

確かにサヨはきっと、俺を許すだろう…。

サヨの性格上、誰かを責める行為を想像出来ない。

基本的に気を許した相手としか話さないサヨだが、誰よりも感受性が豊かで、優しい女の子なんだ…。

だが、今のサヨは許すどころか、俺と話す事すらかなわない存在じゃないか。

俺は、サヨと向きあう覚悟は決めたが、サヨの病状がすぐに回復するとは思っていない。

一生をかけて、サヨと向き合おうと思っているんだ。

「サヨの口からその言葉を聞ければ、自分を許す事が出来るだろうな…でも今は聞けない。だから俺は、サヨが目を覚ますまで、サヨと向き合ってみようと思う…」

逃げる様にこの町に来た俺…。

日々ケンカに明け暮れ、この一年まともな事なんてろくにしていない…。
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