不良の法律~Judge Town~
それよりも、俺が今一番気がかりなのは…。

ヒサジの事だ…。

自殺未遂をした話を聞いた時は、ぶん殴って目を覚ましてやろうかと考えたが、実際にはそんな事をしなかった…。

まず第一に傷が全然癒えてなくて、俺自身が誰かを殴れる状態じゃなかった事。

そして一番の理由…。

それはヒサジ自身が自殺を望んだ訳ではないという事だ…。

先生が言うには、行方が分からなくなったヒサジを探していると、屋上で身を乗り出しているヒサジを発見…。

かなりギリギリの所で助け出したらしい。

発見したヒサジは完全に上の空で、サヨに会う事にかなりの抵抗があるらしく、サヨには最初に会って以来会っていないらしい…。

先生…確か名前は白鳥だったか。

白鳥先生もヒサジの心理状態を考えると、サヨや俺に会うのは辞めた方がいいと言う考えにいたったらしく、俺の所に来た時、ヒサジに会うのを待ってほしいと言われたんだ…。

それを受けれた俺は、ヒサジの元に顔を出すのを辞め、こうして自分の病室とサヨの病室を行き来する生活を繰り返している…。

そして事件は急に起きた…。

「ヒサジが行方不明!?」

院長先生が俺の病室に来た時、開口一番こう俺に言ったのだ。

…ヒサジの行方が分からなくなったと…。

身寄りが解らないヒサジだ…孤児院以外、行く所なんてないだろ…。
< 353 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop