不良の法律~Judge Town~
俺はそんなサヨを複雑な表情で眺めていた…。

確かにサヨの『感情』は少しずつ戻ってきた。でも『理性』は戻ってきていないんだ…。

俺の事もヒサジの事もサヨは何も覚えていない…ただ、感情をむき出しに生きている女の子でしかないんだ…。

こうやって俺に笑顔を見せてくれるのは、正直とても嬉しい…。

でも、俺が本当に見たいのはサヨ本来の笑顔なんだ…。

今のサヨの笑顔が向日葵なら、昔のサヨの笑顔は百合の花だ…。

清楚でおしとやかなんだが、見ている人が安心できるようなそんな笑顔。

俺が見たいのはそんな笑顔なんだ…。

俺が一人暗い表情をしていると、サヨが悲しそうな表情で俺を見上げてきた。

「悪い悪い…よぉしサヨ!今日はこんな話を聞かせてやる!サヨの白馬の王子様のヒサジの話だ…」

俺がサヨに心配をかけてどうする…。

俺がもっと強くならないと駄目じゃないか…昔のサヨの状態を考えたら、今のサヨの状態は奇跡的に良くなった…。

すくなくとも昔みたいに俺の独り言ではなく、ちゃんと俺の話に耳を傾けてくれている…。

俺は今のサヨの状態を神に感謝しないといけいんだ…。
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