不良の法律~Judge Town~
サヨの発作があの日の事件からきているものなら、記憶を取り戻すきっかけにはなる筈なんだ…。

でも実際にはサヨの記憶は戻らず、同じ事の繰り返しで終わってしまう。

「でも何でサヨは、ヒサジの話を聞くと発作を起こすんでしょうか…あの日の事件の話をした訳でもないのに…」

サヨに話している内容は、ヒサジと一緒に暮らしていた時の楽しい思い出話だけだ…。

今思い返しても楽しい思い出だ…とても発作を引き起こす様な事じゃない。

「それは私にも解らないわ…でもサヨちゃんが、ヒサジ君の名前に反応している事は間違いないと思うの。もしかしたらサヨちゃんの記憶の封印を解けるのは…」

「ヒサジの存在自体って事なのか…」

だとしても…。

「未だにヒサジの行方が分からないんじゃどうしようもないか…」

ここで俺と柏木先生がため息をつく…。

あれから一年以上の時が経っているのに、ヒサジの行方は分からずに居るからだ…。

生きているかも死んでいるかも解らない…一体ヒサジは何所に。

「…ヒサジ君の事に関しては、私も責任を感じているのよね」

俺がヒサジの事を考えていると、柏木先生がおもむろに口を開いた…。
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