不良の法律~Judge Town~
一番近くで見ていた俺だからこそ解る…。

ヒサジの頭からサヨの存在が消える事。つまりはサヨなしでの生活は考えられないのだ…。

サヨの近くに居たいのに、守れなかった罪悪感でサヨに近づけない…ならいっそ離れて暮らし、頭の中を整理している。

そんな気がするんだ…。

「だから柏木先生がヒサジの事で変に負い目を感じる必要はないんです…では俺はバイトがあるんでこれで失礼します」

気がつけば日が暮れ始めていた…居酒屋でバイトをしている俺はこれからが仕事の時間。

俺は最後にサヨの寝顔を目に焼き付け、病室を後にしようとした。

ドアを開け、病室から出ようとすると柏木先生が俺に向かって声をかけたんだ。

「…ありがとう。なんか少し気が楽になったわ」

と…。

俺は返事の代わりに柏木先生に一つ頭を下げ、病院を後にした…。

俺は病院を出ると俺の住んでいる町にある居酒屋に向かった…。

バイト先である居酒屋に着くと、一人の男が俺に話しかけてきた。

「よっカズヤ!今日もサヨちゃんの所に行ってきたのか?」

明るめの茶髪に物おじしなさそうな活発な目をした男…。

パッと見通り、活発な今時の若者であるバイト仲間のマモルが目の前に立っていた。

「行ってきたよ…つうかマモルが時間通りに来るとか珍しいな!今日はどうしたんだ?」

うちの店に来てまだ一ヶ月しか経っていないのに、すでに遅刻の常習犯のマモルなのだが、今日は俺よりも早くバイトに来ていた…。

「それは…」

「俺がこれ以上遅刻したら自給下げるって言ったからだよな?」
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