不良の法律~Judge Town~
流石に高校生地区のマスターをしているだけあって、良い覇気をサクラさんは持っているな。

少しだけだが俺は、サクラさんの気迫に気後れをした…ほんの少しだけな。

堪忍した俺は、着ていた上着を脱ぎ、サクラさんの診察を受ける事にしたんだ…。

俺の傷を見た瞬間サクラさんは、可愛らしい表情を曇らせる。

「これは明らかに骨に異常がある腫れ方よ。今まで痛くなかったの?」

サクラさんは俺の身体を触診しながら、俺に聞いてきた。

「痛みはあったけど、我慢出来る程度の痛みだったから我慢していたんですよ。今日は負けられないケンカだったし…小さい痛みを気にしている暇がなかったんですよ」

これは事実だ。今日のケンカは、ある意味負け試合覚悟のケンカだったから、小さい痛みなど気にしている暇なんてなかった。

骨の一、二本は覚悟のうち。その覚悟がなかったら、今日のケンカを乗り切るのは不可能だったから。

「うぅーん…流石『鬼神ヒサジ』君だね。普通の人なら、痛みでケンカ所じゃない傷なのに。そこまでしてケンカをやりきったヒサジ君の原動力は何だったの?」

サクラさんは、明かな苦笑を受かべながら、俺の顔を下からのぞき込む様に聞いてきた。

俺の原動力か…

「それは、俺のケンカに付き合ってくれた仲間のおかげですかね。俺はこの町に来て初めて、本当の友達を見つける事が出来たんです。この町に来た当初は、一人で無茶なケンカばかりしていたんです…誰も信用出来なかったし、俺自身が誰も信じようとしていなかったですから」
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