不良の法律~Judge Town~
俺は聞かれてもいない事まで話しだしていた…。

何故だか解らないが、話たくなったんだ。サクラさんもカズヤも何も言わずに俺の話に耳を傾けていたしな。

俺はそのまま話を続けた。

「そんな俺の前に現れたのが、ハヤトだった。俺は一目で解ったんだ…コイツは俺に似ているって。ハヤトの目は、自分では抱えきれない闇を心に抱えながら一人で生きてきた奴の目だった…ハヤトも、自分にとって大切な物が解っているのに、ワザと自分から身を引いた人間だって思ったんだ」

忘れもしない、あの時のハヤトは今のハヤトとは別人の目だった。

氷の様な冷たさと、どす黒い炎の様な熱さを秘めた目。

噂では聞いていたんだ。

当時、みんなから一目おかれていたタケシと互角の実力も持っている奴だってな。しかもその男は、この町に来た初日でそんな大事をやってのけたのだ…。

それだけでハヤトは、凄いケンカのポテンシャルを秘めているのが明らかだった。

「俺は、ハヤトにケンカを売って実力を確かめてみたんだ。結果は俺の勝ちだったが、ハヤトの実力は本物だったよ。的確に相手の弱点を見切り、隙のない構えで相手を完封するスタイル…まぁハヤトの実力の話はどうでもいいんだ。俺が確かめたかったのは、ハヤトの内面だったから」

「内面?」

ここで今まで黙って聞いていたカズヤが口を挟んできた。

「あぁ。俺が本当に知りたかったのは、ハヤトが俺と同類の人間かどうかだけだったからな。それを調べるのに一番楽だったのがケンカだったんだよ」

「…俺には理解しがたいな」

カズヤが苦笑いしながら俺を見てきた。
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