不良の法律~Judge Town~
まぁカズヤには理解出来ないだろうな。不良の意思疎通は言葉よりも拳の方が解りやすいなんて事は…。

確証なんてない。でも拳を合わせて初めて見えてくる事があるんだ…。

俺はそう思っている。

「それが不良なんだよカズヤ…まぁ話が少しそれたが、俺の戦う理由なんてただそれだけなんだよ。俺は一度大切な人から逃げた人間だ。だからもう俺は逃げたくないんだ…目の前の大切な人を守りきる事からな」

これが俺の見つけた強さだ。どれだけデカイ壁だろうが必ず乗り越えてみせる…一人で出来ないなら仲間と乗り越えるんだ。

『信頼』し合える仲間とな。

俺が一人くさい事を語っていると、サクラさんが満足気な表情で俺に話しかけてきた。

「それがヒサジ君の戦う理由なんだね。何か青春って感じでいいね!ヒサジ君はその気持ちを絶対に忘れちゃだめだよ…辛かったら周りにいる人に助けを求めてもいいんだから」

「はい、解っています…」

その後俺はサクラさんに簡単な治療をしてもらったんだ。

レントゲンを撮って調べた訳ではないが、サクラさんが言うには俺の傷は、肋骨にひびが入っているだけらしく、包帯でちゃんと固定すれば自然と治ると言っていた…。

一通り治療が終わるとサクラさんは部屋から退席していった。

「なぁカズヤ…サクラさんって一体何者なんだ?何か年相応には見えない貫禄みたいな物を感じるんだが」

俺は本人の前では言えなかった事をカズヤに聞いてみた。あんなプレッシャーを女性から感じたのは初めてだったからだ…。

「俺には解らんよ。俺だって最近サクラさんと知り合ったんだから」

「それもそうか…」
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