不良の法律~Judge Town~
ミツハルは相変わらず俺でも解る言い方で俺に話をしてくれていた。

「だから今の時代は、大金持ちと貧乏のひとがあふれている状態なんだ…頑張って働いていても、会社が倒産したら仕事を失う。逆を言えば、一つの会社が無くなることで、他の会社の仕事が少し増える結果になっているんんだ。それは昔からあった事だけど、今の時代は違う。今は、大手事業が次々に倒産している時代の節目なんだ…だから仕事を失って、次の仕事を探しづらい状況が続いているのさ」

なるほどな…確かに、大手企業が倒産すれば多くの人数が仕事を失う事になる。

だから不景気なのか…。

「でも国としてみたら、このままの状況を放っとく訳にはいかない。大手企業が潰れる事は、国の破滅と同じ事だからね。だから国はある政策をとっているのさ…それが産業再生機構だ。国が企業の権利を買い、代わりに経営をする政策さ…」

だんだん難しい話になってきたな…。予備知識が皆無の俺は、ミツハルの話についていけなくなってきていた。

自分の頭の悪さに嫌気がさしてくる。

そうこう話をしているうちに、とある部屋に辿りついた。確かミツハルに着いていくまま、エレベーターに乗り、最上階に来たんだ…。

そしてこの場所は最上階の奥の部屋。ドアの造りからしても、明らかに身分の高い人が使っているような気品のある作りである。

ちょっと緊張してきたな…はたしてこの奥に誰が待っているのやら…。

ミツハルは俺に目配せをし、小さく俺に笑いかけてくれた。

心配しなくて良いよと言っている様な笑顔で。俺は少し子供扱いをされている様な感じを受けたが、ミツハルの笑顔で少し緊張が解けたのは事実だった。

「ここが、この会社のCEOの部屋だよ。まぁ、緊張しなくてもいいよハヤト。優しい人だからさ」

ミツハルはそう言うと、ドアをノックした。

中に居る人が返事をする声が聞こえてので、ミツハルはドアを開けたんだ…。

今の声って。
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