不良の法律～Judge Town～
「それでは何から話をしようか…まずは、この町の真実からだな」

前田さんはそう言うと話しだそうとしたが、ミツハルが口を開く。

「それは僕から話しますよ前田さん。実は、話の途中なんですよ」

「そうか。なら頼むミツハル…」

確かにミツハルの話は途中だったな。産業再生機構がどうたら言ってたっけか…。

ミツハルは、はいと前田さんに返事をした後、話を始めた。

「この町は実は、日本政府が作った政策の一つなんだよ。前田さんがＣＥＯをしている事でハヤトも薄々感づいているとは思うけどね」

確かに俺は、前田さんに会った時に薄々そうではないかと思っていた。これだけの事を日本政府に内緒でするのは不可能だ。

でも前田さんが上に居るなら話は別だと思う…それだけの事が出来る立場にいたんだから。

「この町を作ったのには基本的な理由が二つあるんだ。一つは、失業した人のケアとしてこの町で仕事を与える事。ＩＴ関係は、インターネットがつながれば、仕事に支障は出ないし、町の維持のための仕事もたくさん提供出来るからね…それが、産業再生機構のバックボーンになっている組合組織。この政策を実行するにあたって、多くの企業の支援を受けないと出来なかったんだけど、それを可能にさせたのが、前田さんの人力のおかげなんだよ」

ミツハルはそう言うと、前田さんを尊敬にも似た眼差しを送っていた。

前田さんはと言うと、少し照れくさい表情を浮かべている。

そうか…だから、複合地区の人間は普通に仕事をしていたんだな。この町を一つの拠点にして、仕事をしているのか。
< 392 / 459 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop