不良の法律~Judge Town~
俺と一緒に学校に行きたい…か。それは……。

「一緒に学校か…それも悪くないかもな」

「っえ!?」

耳元でマリコの驚いた声が聞こえてきた。マリコが驚くのも無理もないと俺は思う…。

間違いなく、一年前までの俺なら、こんな返事はしなかったはずだから。何かと理由をつけて、世の中すべてを否定し、めんどくさい事からは逃げていたはず…。

そんな俺を一番身近で見ていたマリコからすれば、俺のこの返事は空耳に聞こえたに違いない。

「でも、やっぱり俺には出来ないな…俺のやりたい事は学校にはないから」

「………そう」

マリコは看護師になるのが夢だと言っていた。おそらく、看護師になるためには人並み以上に勉強して、しかるべき学校に進学しないといけないだろう。

でも俺は…。

「なぁマリコ…ジャッジタウンにはさ、人に自慢出来る事がない半端な人間しかいないけど、毎日を必死に生きている人間がいっぱいいるんだよ。その中には町に適応出来なくて出て行く奴もいれば、俺達みたいにこの町が居心地良くて不自由なく生活している奴もいる。こんな場所だけど…こんな場所だからこそ、俺のやりたい事が見つかる様な気がするんだ」

「……うん」

「だからさ…俺はもう少しこの場所で自分と向き合いたいんだよ。そして、俺のやりたい事を見つけたい。中途半端な自分と決別する為に…」

この町には凄い人間がいっぱい居る。銀二にミツハルにドラゴンさん…前田さんだっている。それに、俺は知ってしまったから…この町の存在の重要性や、今やらなくちゃいけない事を。

だから俺は闘ってみたい。

ケンカ以外にも戦う事はいっぱいあるんだ。俺はそれを知らなくちゃいけない気がするから。

「…うん!解ったよハヤト。私ならいくらでも待ってあげるから頑張って!毎日連絡さえくれるなら、私は大丈夫」
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