不良の法律~Judge Town~
受話器から聞こえるのはいつもの元気なマリコの声だった。昔から何度も何度も聞いていたマリコの声…暗闇にいても絶え間なく差し込んできた一筋の光。

マリコの存在が俺のバックボーンになってくれる。だから俺は、前に走る気になったのかもな。

「そうか。ありがとう…」

俺の覚悟は決まった。どこまで出来るか分からないが、とことんやってみよう…中学生地区の中間管理職をよ。

その後俺は、マリコと簡単に話をして、電話を切った。

何か気分が晴れやかになった気がする。人と話をしてこんな気分になったのは、はじめてかもな。そんな事を考えながら、自分の部屋を出て、リビングに向かうと、ヒサジが覚悟を決めた様な表情で俺を待っていた…。

「どうしたヒサジ?そんな怖い顔をして…」

なんとなくは、予想がついているけどな…。

俺は、ヒサジの眼をしっかりと見つめて、質問を投げかけた。

「ハヤト…俺は、町を出ようと思っている」

やっぱりな…カズヤさんがヒサジに会いにきたと仮定すると、間違いなくサヨちゃん絡みの件で来た筈だ。当然、ヒサジは俺みたいな無責任野郎じゃないから、自分の大切な人の為に、行動するはずだ。

「そうか…行ってこいよヒサジ。お前は、サヨちゃんの為に帰るべきだと俺も思うぜ。もう、過去に捕らわれる必要はないはずだからな…」

俺の言葉を聞いたヒサジは驚いた表情をしている。多分、俺の口からサヨちゃんの名前が出るとは思わなかったのだろう…。

「ハヤト……あぁ。俺は、サヨの為に街を出るよ…こんな時期に無責任な事だと思うけど…」
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